学校からのおたよりや先生の話で、「生きる力」という言葉を耳にすることがあります。大切そうだけれど、少し抽象的で、具体的に何を指すのかピンとこない、という方も多いかもしれません。「これからの子どもに必要な力って、結局何なのだろう」と気になっている方もいるでしょう。ここでは、文部科学省が掲げる「生きる力」とは何か、そして、これからの時代に必要とされる力を、わかりやすく整理します。

「生きる力」とは

「生きる力」は、文部科学省の学習指導要領が、子どもたちに育むことを目指している力です。ひとことで言えば、「知・徳・体のバランスのとれた力」を指します。次の3つの要素で説明されています。

  • 確かな学力(知):基礎・基本を身につけたうえで、自分で課題を見つけ、自ら学び、考え、判断し、よりよく問題を解決していく力。
  • 豊かな人間性(徳):自分を律しながら、他の人と協力し、思いやる心や、物事に感動する心。
  • 健康・体力(体):たくましく生きるための、健康な心と体。

勉強ができること(知)だけでなく、人と関わる力(徳)や、心身の健やかさ(体)も含めて、まるごと育てていこう、という考え方です。

なぜ今、「生きる力」なのか

背景にあるのは、社会の変化の速さです。仕事の形も、必要とされる知識も、速いスピードで移り変わっています。今の正解が、その子が大人になるころには変わっているかもしれません。だからこそ、知識をたくさん覚えることだけでなく、自分で考え、学び続け、人と協力していく力が大切だとされています。

これからの子どもに必要な力——「資質・能力の3つの柱」

では、その「生きる力」を、具体的にどんな力として育てていくのか。2017年に改訂された学習指導要領では、「資質・能力の3つの柱」として整理されています。

  1. 知識及び技能:何を理解しているか、何ができるか。学びの土台となる知識や技能です。
  2. 思考力、判断力、表現力等:知っていることを使って、どう考え、判断し、表現するか。
  3. 学びに向かう力、人間性等:どのように社会や人と関わり、よりよく生きようとするか。学ぶ意欲や、協力する姿勢などです。

ここで、二つの「3つ」が出てきて戸惑うかもしれません。「知・徳・体」は、生きる力の全体像を表したものです。一方、「資質・能力の3つの柱」は、学校の学びを通して、どのような力を育てるかを整理したものです。二つの別々の目標があるのではなく、知・徳・体をバランスよく育てるために、学びの中身を3つの柱から捉え直したもの、と考えてください。文部科学省も、「生きる力」を育むために、この3つの柱をバランスよく育成するとしています。

「生きる力」は、親だけが育てるものではない

「生きる力を育てる」と聞くと、家庭でも何か特別なことをしなければ、と感じるかもしれません。でも、生きる力は、親が正しい声かけを続けることで、子どもの中に注ぎ込むものではありません。

学校で友達と意見がぶつかったこと。分からないことを、誰かに教えてもらったこと。うまくできずに諦めたあとで、もう一度やってみたこと。困ったときに助けを求め、誰かに支えてもらったこと。そうした経験も、すべて生きる力の一部です。すぐに答えを教えた日があっても、忙しくて一緒に考えられなかった日があっても、それで子どもの生きる力が育たなくなるわけではありません。子どもは、家庭だけでなく、学校や友達、地域との関わりの中でも育っていきます。

家庭で新しいことを始める必要はありません。これまで何気なく見ていた子どもの姿を、「この子は、この子なりに考え、誰かと関わりながら生きているのかもしれない」と見直してみる。それだけでも十分です。

よくある質問(FAQ)

「生きる力」とは何ですか。

文部科学省の学習指導要領が、子どもたちに育むことを目指している力で、「知・徳・体のバランスのとれた力」を指します。具体的には、自ら学び考える「確かな学力」、他者と協調し思いやる「豊かな人間性」、たくましく生きる「健康・体力」の3つの要素からなります。

これからの子どもに必要な力は、何ですか。

変化の激しい時代の中で、自分で考え、学び続け、他者と協力しながら問題を解決していく力です。学習指導要領では、これを「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」という3つの柱として整理しています。

家庭では、何をすればいいですか。

特別な教育は必要ありません。生きる力は、親の正しい声かけだけで育つものではなく、学校や友達、地域との関わりも含めた、さまざまな経験の中で育っていきます。忙しくて手が回らない日があっても、それで育たなくなるわけではありません。子どもはすでに、家庭の外も含めたさまざまな経験の中で、自分なりに考え、人と関わっています。

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※出典:文部科学省「平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説等)」文部科学省「新しい学習指導要領の考え方(資質・能力の3つの柱)」

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