家族は、いちばん安らげる場所だと言われます。それなのに、家に帰るのがしんどい。顔を合わせると、体がこわばる。ふと、「私の一番のストレスは、家族かもしれない」と思ってしまう。そして、そう思った自分に、うしろめたさを感じる。もし、そんな気持ちを抱えているのなら——それは、あなたが冷たい人間だから起きていることではありません。

「家族がストレス」と感じるのは、珍しいことではない

厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2022年)によると、悩みやストレスがある人は、女性で約5割、男性で約4割にのぼります。その原因を年代別に見ると、女性は30歳代で「育児」、40歳代で「子どもの教育」を挙げる人が多くなっています。また、10歳代では「家族との人間関係」、50歳代以上では「家族の病気や介護」が、主な原因の上位に入っています。

つまり、家庭の中のことが大きなストレス源になるのは、あなただけに起きている特別なことではありません。口には出しにくくても、同じように家庭の中のことをストレスとして抱えている人がいます。「家族がストレスだなんて」と自分を責める必要は、ありません。

なぜ、近い家族ほどストレスになるのか

家族がストレスになりやすいのには、性格とは別の理由があります。それは、家族が「いちばん近くて、逃げ場のない関係」だからです。

職場の人間関係なら、家に帰れば距離を取れます。でも家族との関係には、終業時間がありません。気が合わない日も、体調が悪い日も、関わり続けることになります。しかも、家事や世話、家族の機嫌を整える役割は、多くの場合、特定の一人に集まります。その一人が、逃げ場のないまま、休みなく気をつかい続ける。どんなに家族が好きでも、その状態が続けば、心はすり減っていきます。

そしてもう一つ、見落としてはいけないことがあります。家族がストレスになる背景には、役割の集中だけでなく、傷つく言葉、支配的な関わり、安心できない状況が続いている場合もあります。もしそうなら、それは「あなたがうまくやれていない」という話ではありません。あなたの安全に関わることとして、負荷の問題とは分けて考える必要があります。

家族が重いと感じる自分を、裁かなくていい

家族を大切に思いながら、しんどくなることもあります。反対に、傷つくことが重なって、「嫌い」「離れたい」と感じることもあります。どちらであっても、その気持ちだけで、あなたの人間性や愛情を決める必要はありません。

見たいのは、家族を好きか嫌いかではなく、あなたの体がこわばるほど、その関係の中で何が起きているのか、のほうです。自分の気持ちを「こんなことを思うなんて」と裁く前に、まず、その重さがどこから来ているのかを見てみてください。

負荷を、少しでも外に逃がす

無理に「家族を好きになろう」とがんばる必要はありません。変えられるのは気持ちよりも、あなた一人に集まっている負荷のかかり方のほうです。

一つは、物理的な距離です。一人になれる時間を、短くてもいいので確保する。カフェでも、車の中でも、散歩でも、家族の役割から離れられる場所を持つ。「今は少し一人にさせて」と、無理のない範囲で離れてかまいません。もう一つは、役割の分散です。今あなただけが担っていることを、一つでも他の家族に渡せないかを考える。

ただし、断ったり距離を取ったりすると、相手が怒鳴る、脅す、物に当たる。お金や外出、連絡先を制限されている。そんな状況なら、一人で相手と話し合おうとしないでください。線を引くこと自体が、かえって危険を強めてしまうことがあります。そのときは、あなたの安全のために、次の窓口を頼ってください。

それでも、つらさが抜けないときは

暴力や支配ではないけれど、気持ちが晴れず、眠れない日が続く。家族のことを考えると、涙が出たり、何も感じなくなったりする。そういう状態が続いているなら、一人で抱え込まず、外の力を借りてください。

自治体の子育て相談の窓口や、こころの健康相談、かかりつけ医などに、今の状態をそのまま話してかまいません。うまく説明できなくても大丈夫です。家族との関係を、あなた一人の我慢で支え続ける必要は、ありません。

よくある質問(FAQ)

家族が1番のストレスだなんて、おかしいでしょうか。

おかしくありません。調査でも、家族関係や育児、家族の介護は、多くの人にとって大きなストレス源になっています。いちばん近い関係は、いちばん逃げ場がないぶん、重くもなりやすいのです。感じていること自体を、間違いだと思わなくて大丈夫です。

家族といるのがしんどいのは、愛情がないからですか。

愛情の有無だけでは決められません。しんどさは、関係の近さや役割の集中から来ることもあれば、傷つく言葉や支配的な関わりが続いていることから来ることもあります。大切に思っていても苦しいことはあるし、傷ついて離れたいと感じることもあります。どちらも、あなたを責める理由にはなりません。

どうすれば、楽になりますか。

「家族を好きになろう」とするより、負荷を軽くする方向を探してみてください。一人になれる時間を少しつくる。担っている役割を一つ手放す。無理のない範囲で距離を取る。ただし、距離を取ると相手が怒る・脅すような状況なら、一人で解決しようとせず、相談窓口を頼ってください。

読み終えたあなたへ

家族がいちばんのストレスに感じる——それは、あなたが薄情だからではなく、いちばん近い関係の中で、負荷があなたに集まり、時には傷つく関わりまで続いているサインかもしれません。責めるべきは、あなたの気持ちではありません。今日すぐに、家族との関係を変えなくてもかまいません。まずは、「家族がしんどい」と感じている自分を否定せず、ここで一度休んでください。安全に距離を取れそうなときに、休める場所や相談できる相手を探すこともできます。

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※相談窓口:内閣府「DV相談ナビ #8008・DV相談+」

※出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」(2022年)/生命保険文化センターによる整理

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