夜、子どもを寝かしつけたあと、体は動くのに、心が動かない。もう何もしたくない。明日がまた来ることが、少し重い。そんなふうに感じる日があっても、それはあなたが怠けているからでも、母親に向いていないからでもありません。ここでは、疲れきってしまったとき、まず何をすればいいのか、そして、なぜ休んでも疲れが抜けないのかを、一緒に見ていきます。

その疲れは、あなたが弱いからではない

子育てで疲れるのは、あなただけではありません。厚生労働省が2007年に公表した「21世紀出生児縦断調査」でも、母親が子育てで負担に思うこととして、「自分の自由な時間が持てない」「子育てによる身体の疲れが大きい」が上位に挙がっていました。少し前の調査ですが、自分の時間が持てないことや、身体の疲れは、多くの家庭で抱えられてきた負担です。

子育てで疲れるのは、あなたの根性が足りないからではありません。休みも、一人の時間も取りにくい状況で、長く走り続けていれば、誰でも消耗します。まず、「疲れて当然のことをしている」と、自分に認めてあげてください。

疲れてしまったら、まずどうするか

限界に近いときに、「生活を立て直そう」とがんばるのは、かえって逆効果です。今日は、次のような、いちばん軽いことだけで大丈夫です。

一つは、手を抜く許可を、自分に出すことです。掃除も、手の込んだごはんも、今日はしなくていい。冷凍でも、お惣菜でも、子どもとあなたのお腹が満たせれば十分です。もう一つは、五分でも、張りつめた状態から離れる時間をつくることです。子どもの安全が確保できるなら、五分だけ別の場所で座る。一人になることが難しければ、子どものそばで、家事の手を止めて座るだけでもかまいません。それだけでも、張りつめた糸が少しゆるみます。そしてもう一つは、頼れるものに頼ることです。家電でも、宅配でも、一時預かりでも、使えるものは使ってかまいません。

これらは、なまけではありません。倒れないための、正当な手当てです。

「休んでいるのに疲れが抜けない」のはなぜか

今日、座って食事をする時間はありましたか。トイレに入っている間も、子どもの声を気にしていなかったでしょうか。「何もしなくていい時間」は、何分あったでしょうか。もし、ほとんど思い出せないのなら、疲れが抜けないのは、あなたの休み方が下手だからではありません。そもそも、休める時間が一日の中に用意されていないのです。

座って休んでいても、頭のどこかで、子どもの気配をうかがっている。次にすることを考えている。この「気を張り続けている状態」が、休んでも疲れが抜けない理由です。

体を休めることと、責任からいったん離れることは、別のことです。もし頼れる人や制度があるなら、短い時間でも子どもの安全を任せ、「今は自分が見ていなくても大丈夫」と思える時間を持ってみてください。

けれど、預けられる人がいないこともあります。一時預かりを使う余裕がないこともあります。その場合は、できない自分を責めなくてかまいません。子どもの安全を確保したうえで、家事を一つやめてそばに座る。誰かと電話やLINEでつながる。それも、張りつめた状態から少し離れるための方法です。

疲れをためないために、負担を分ける

その場をしのいだあと、少し余裕が出てきたら、疲れがたまりにくい形を考えてみてください。ポイントは、あなた一人に集まっている負担を、外に分けることです。

話し合える相手がいるなら、家事や送り迎え、寝かしつけのうち、一つだけでも固定で渡せないか相談してみる。制度を調べる元気が残っていないときは、こども家庭センターに「何が使えるのか分からない」と伝えるだけでもかまいません。あなたが一人で制度を探し、比較し、手配までしなければならないわけではありません。完璧に分担できなくても大丈夫です。あなた一人にすべてが乗っている状態を、少しだけ崩せれば、それでいいのです。

それでも、つらさが抜けないときは

眠れない日が続く。涙が止まらない。子どもをかわいいと思えない。何をしても気持ちが晴れない。そんな状態が長く続くなら、それは疲れの範囲を越えて、心が助けを必要としているサインかもしれません。

「消えてしまいたい」「子どもを傷つけてしまうかもしれない」という気持ちがあるときは、この先を読み進めなくてもかまいません。差し迫った危険がある場合は、110番119番へ。子どもを傷つけてしまいそうなときは、「189」に相談できます。

あわせて、次のような窓口も、あなたの側に立ってくれます。うまく説明できなくても大丈夫です。「これくらいで相談していいのかな」と、ためらう必要はありません。

よくある質問(FAQ)

子育てに疲れてしまったら、どうすればいいですか。

まず、今日やらなくてもよいことを一つ決めて、やることを最小限まで減らしてかまいません。一人になれるなら、短い時間でも張りつめた状態から離れる。一人になることが難しければ、子どものそばで家事をやめて座るだけでも大丈夫です。頼れる人や制度があるなら、短い時間だけ子どもの安全を任せる方法もあります。できることから、あなたに集まっている負担を少し外へ逃がしてください。

疲れて、子どもにやさしくできません。私はダメな親でしょうか。

ダメな親ではありません。やさしくする余裕は、気持ちの問題というより、残っている余力の問題です。余力が尽きているときに、無理にやさしくしようとしても続きません。今、やさしくできない自分を責めるより、あなたがこれ以上削られないための手当てを、先にしてかまいません。

何もしたくないのは、甘えですか。

甘えではありません。「何もしたくない」は、心と体が「すでに休息や支援が必要になっている」と教えてくれているサインです。その声を無視せず、いったん止まること自体が、今のあなたに必要な手当です。止まることは、弱さでも甘えでもありません。

読み終えたあなたへ

子育てに疲れるのは、あなたが不十分だからではなく、休みも一人の時間も取りにくい中で、走り続けているからです。今日すぐに、何かを変えなくてかまいません。まずは、この記事を閉じたら、少しだけ座って、ひと息ついてください。手を抜くことも、誰かに預けることも、あなたが選んでいい方法です。

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※参考:厚生労働省「第6回21世紀出生児縦断調査」

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