もし今、「私は子育てができない母親なのかもしれない」と、自分を責めているのなら。今日も怒鳴ってしまった。家の中は片づかず、ごはんも思うように作れなかった。まわりのお母さんは、もっと上手にやっているように見える。そんな一日を、何度も繰り返してきたのかもしれません。それでも、ここまで自分を責めながら、どうにかしたいと考えてきたのではないでしょうか。
「子育てができない母親」という決まった型はありません
結論からいうと、「子育てができない母親」に共通する性格や見た目はありません。ネット上には「こういう母親は子育てができない」といった特徴が並んでいますが、それは一人ひとりの母親を正確に言い当てるものではありません。同じ行動でも、置かれている状況によって、意味がまったく変わってくるからです。まず、世間で語られる「特徴」を見たうえで、その正体を確かめていきます。
よく「子育てができない母親の特徴」として挙げられるもの
インターネットで「特徴」として挙げられやすいのは、次のようなものです。
- すぐに感情的になり、子どもを怒鳴ってしまう
- 子どもと関わる時間や、気持ちの余裕が持てない
- 家事や生活リズムを、うまく整えられない
- 子どもの成長や発達について、知識が足りないと感じる
- 自分のことで精一杯で、余裕がないように見える
読んでいて、胸が痛くなったかもしれません。ただ、これらはどれも「性格」ではなく「状態」を指しています。そして状態は、条件が変わることで動く余地があります。
その「特徴」の正体は、性格ではなく状態のことが多い
上に並んだ項目を、もう一度見てください。怒鳴ってしまう、余裕が持てない、生活が整わない。これらが重なっているとき、その背景には、いくつもの事情があります。睡眠不足や孤立、休めなさに加えて、心身の不調、これまでの経験、パートナーとの関係、子どもの育てにくさ。そうしたものが絡み合って、余力が削られていきます。
怒鳴ってしまう背景には、こうした条件によって、余力が失われていることがあります。生活が整わないときも、本人のだらしなさではなく、担っている量に対して、手が足りていないのかもしれません。そして多くの場合、その奥では、判断も世話も責任も、あなた一人に集まりすぎています。「できない特徴」に見えるものは、あなたの中身の問題ではなく、負荷が一人に集まっている状況から来ていることが少なくありません。
ただ、そうなる理由があることと、子どもが傷つく関わりを、そのままにしてよいことは、別の話です。あなたを責めるためではなく、親子を守るために、一人の我慢で支え続ける形のほうを、変えていく必要があります。
「できない」のではなく、一人で抱えすぎているのかもしれない
あなたに足りないのは、母親としての能力や愛情ではなく、余力と、分け合える相手のほうかもしれません。「もっとちゃんとしなきゃ」と一人でさらに頑張るほど、負荷はあなたに集まっていきます。
できることがあるとすれば、今あなた一人に乗っているものを、少しでも外に分けることです。パートナーと家事や寝かしつけを分ける。実家や自治体の一時預かりを使う。地域の子育て相談の窓口に、うまくできている気がしない、と話してみる。どれも、あなたが弱いから使うのではなく、一人に集まりすぎた負荷を、少しでも外に分散させていくための手段です。
とはいえ、頼れる相手が思い浮かばないかもしれません。これまで助けを求めても、分かってもらえなかったことがあるかもしれません。支援を探したり、予約したりする余力さえ、残っていないこともあるでしょう。負荷がなかなか減らないのは、あなたの頼み方が悪いからではありません。だからこそ、あなたの側に立ってくれる窓口があります。
一人で抱えきれないときの相談先
眠れない日が続く。子どもに手が出てしまいそうで怖い。気持ちが晴れず、何も感じられない。そういう状態が続いているなら、それは頑張りが足りないのではなく、あなた自身にケアが必要になっているサインかもしれません。我慢して一人で耐えず、次の窓口を使ってください。うまく説明できなくても大丈夫です。
- 110番(警察)・119番(救急):差し迫った危険があるときに、ためらわずかけてください。
- 児童相談所相談専用ダイヤル「0120-189-783」:子育てや親子関係の悩みを、無料で相談できる全国共通の番号です。
- 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」:虐待かもしれないと感じたときに相談できる、全国共通の番号です(24時間)。
- 親子のための相談LINE:保護者も、子育てや親子関係について相談できます。匿名でも利用できます。
あなたが休めることは、まわりまわって、子どもにとっても大切なことです。
よくある質問(FAQ)
「子育てができない母親の特徴」は、本当にあるのでしょうか。
決まった型はありません。挙げられている「特徴」の多くは、性格ではなく、余裕や支えが足りないときに、誰にでも起こりうる状態です。同じ行動でも、その人が置かれている状況を抜きにして「こういう母親」と決めつけることはできません。当てはまる気がしても、それはあなたの人格の判定ではありません。
自分は、子育てに向いていないのでしょうか。
向いているかどうかは、怒鳴ってしまった一日や、家事が回らなかった時期だけでは決められません。まず見てほしいのは、あなたの適性ではなく、今どれだけの負荷が一人に集まっているかです。同じ人でも、支えがある状況と、一人きりの状況とでは、できることがまったく変わります。
どうすれば、ちゃんとできるようになりますか。
「もっと頑張る」以外の方向を探してみてください。今あなた一人に乗っているものを、一つでも誰かと分けられないか。完璧にこなすことより、あなたが少し休めること。ちゃんとできる母親になろうとするより、あなたが休めることは、親子を守るためにも大切です。
読み終えたあなたへ
「子育てができない母親の特徴」という言葉で、あなたはずいぶん自分を責めてきたのだと思います。でも、ここまで見てきたとおり、その多くは、あなたの中身ではなく、あなたに集まりすぎた負荷から来ています。変えられるとすれば、その負荷の分かれ方のほうです。今夜、何かを決めたり、すぐに動いたりしなくてもかまいません。この文章を読み終えたところで、いったん休んでください。少し動けそうなときが来たら、抱えているものを、誰かや相談窓口に預けることもできます。
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※相談窓口:こども家庭庁「親子のための相談LINE」/児童相談所虐待対応ダイヤル189
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