この子にも、のびのび育ってほしい。できれば、勉強も得意になってくれたら。そう思う一方で、特別な習い事をさせてあげられているわけでもないし、自分の関わり方でいいのだろうか、と不安になることは、ないでしょうか。

まず、決まった「型」はありません

結論からいえば、「優秀な子を育てるお母さん」の決まった型は、ありません。子どもの力は、本人の気質や健康、学校、友人、家庭環境など、いくつもの要素の中で育ちます。母親の関わりだけで決まるものではありません。まず、そこは肩の荷を下ろしてください。

そのうえで、共通点としてよく挙げられるものがあります。それも、特別な教育やお金ではなく、日常の関わり方です。そして、その関わりに通じている一点を先に言えば、「子どもの“考える仕事”を、先回りして奪いすぎない」という姿勢です。

なお、この記事でいう「優秀」は、点数が高いことだけではありません。自分で考え、興味を持ち続け、失敗してもまた試せること。長い目で見て、その子を支えていくのは、こうした力です。

賢い子の親に共通する、5つの関わり方

よく言われるのは、次の5つです。どれも、特別な準備はいりません。そして、どれも「子どもの考える仕事を、先回りして奪わない」という一点でつながっています。

  1. 「なんで?」を、その場で終わらせない
  2. 答えをすぐ渡さず、「どう思う?」を挟む
  3. 結果だけで決めず、過程を言葉にする
  4. 失敗から立ち直る仕事を、奪わない
  5. 会話を通して、考えを言葉にする機会を残す

一つずつ、見ていきます。

1.「なんで?」を、その場で終わらせない

「なんで空は青いの?」と聞かれたとき、忙しいと「さあ、どうしてかな」で流したくなります。でも、たまに「ほんとだ、なんでだろうね」と一緒に不思議がるだけで、子どもは「知りたい気持ちは持っていていいんだ」と感じます。正しい答えを返すことより、興味を止めないことのほうが大切です。

2.答えをすぐ渡さず、「どう思う?」を挟む

すぐ正解を渡すと早いのですが、たまに「あなたはどう思う?」と返してみる。それは、自分なりの答えを考える機会になります。とんちんかんな答えでも、「面白い考えだね」と受け取れると、子どもは安心して考え続けられます。

3.結果だけで決めず、過程を言葉にする

「100点えらいね」だけだと、点が取れなかった日がこわくなります。「難しい問題、あきらめずに考えたね」と、やり方や粘りにも目を向ける。結果ではなく過程に触れる声かけは、結果だけを見られているわけではない、と伝える方法になります。うまくいかなかった日ほど、その一言が支えになります。

4.失敗から立ち直る仕事を、奪わない

失敗したとき、「だから言ったでしょ」と先に結論づけると、次の挑戦がこわくなります。「惜しかったね、次はどうする?」と、やり直しを一緒に考える。転んだあと自分で立ち上がる経験を親が先回りして奪わないことは、次にどうするかを自分で考える機会になります。

5.会話を通して、考えを言葉にする機会を残す

特別な教材でなくても、かまいません。今日あったこと、絵本の続き、散歩で見つけたもの。生活の中の何気ない会話や読み聞かせは、考えを言葉にする練習の場になります。うまく話せなくても、最後まで聞いてもらえること自体が、考える意欲を支えます。

子どもの答えを、待てないときは

とはいえ、「なんで?」に付き合う余裕も、「どう思う?」と待つ時間も、いつもあるわけではありません。すぐ答えを教えてしまう日もあります。そのとき、何があなたを急がせていたでしょうか。出発の時間だったのか、家事ときょうだいの世話が重なっていたのか、それとも「正しく教えなければ」という気持ちだったのか。

子どもの考える時間を残すには、母親の声かけを頑張ることより、大人の側に少し待てる余白があることのほうが効きます。そして、その余白は、母親一人でつくるものではありません。「どう思った?」と聞いてくれる大人は、母親でなくてもかまいません。父親、祖父母、園や学校の先生。考えを受け止めてくれる相手が周りに何人かいること自体が、子どもの考える環境になります。

その場で待てなければ、問いを持ち越す

忙しいとき、その場で「なんで?」に付き合えないこともあります。そんなときは、「今は出発するから、帰ったら続きを聞かせて」と、問いを後に持ち越すこともできます。大切なのは、すべての問いにその場で応えることではなく、子どもの疑問を、そこで終わったことにしないことです。

毎日5つすべてを実践できる親は、いません。疲れた日は「早くして」で終わることもあります。それでも、余裕のある日に、どれか一つを思い出せれば十分だと思います。できなかった日を責めるより、できた小さな瞬間のほうに、目を向けてみてください。

よくある質問(FAQ)

教育費をかけないと、優秀には育ちませんか。

お金のかけ方と、考える力の育ちは、そのままイコールではありません。教材を使うことも、子どもの興味を広げる方法の一つです。それと同時に、日常の会話の中にも、考える機会はつくれます。ここで挙げた5つは、どれも家庭の関わりの中でできることです。

共働きで、じっくり関わる時間がありません。

長い時間を取れない日にも、生活の中に会話を置ける場面はあります。夕食中やお風呂で、その日の出来事を一つ聞いてみる。それも、子どもの考えに触れる時間になります。毎日たっぷり向き合えなくても、それがそのまま、子どもの育ちを左右するわけではありません。

自分は勉強が苦手でした。それでも子どもを伸ばせますか。

親が勉強を教えられることと、子どもが伸びることは、別の話です。ここで大切なのは、子どもの「知りたい」を面白がれること。「お母さんも知らないなあ、一緒に調べてみる?」という関わりは、勉強が得意かどうかとは関係なく持てます。

読み終えたあなたへ

今日、すぐに何かを変えなくてもかまいません。余裕のある日に、我が子の「なんで?」や、うまくいかなかった挑戦に、これまでとほんの少し違う言葉を返してみる。その一度が、子どもの問いを急いで終わらせず、一緒に考える時間になります。点数ではなく、その「考える力」のほうを、ゆっくり見ていけたらと思います。

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