「危ない親」という言葉を見ると、自分もそうなのかもしれない、子どもに悪い影響を与えてきたのかもしれないと、胸がざわつくことがあります。
ここで見ていきたいのは、あなたを「危ない・危なくない」に分けることではありません。その日の自分を責める前に、どんな状況があなたから余裕を奪い、どの関わりへ向かわせていたのか。よく挙げられる4タイプを入り口に、一緒に見てみませんか。
危ない親の4タイプとは
まず、結論からお伝えします。「危ない」とされるのは、性格の悪い親のことではありません。子どもの気持ちよりも、親の都合や不安が優先される関わりが、長く続いてしまう状態のことです。心理学者サイモンズの養育態度の分類をもとに、次の4つが挙げられることがあります(東京都の解説)。
- 過保護型(心配で、先回りしてしまう)
- 高圧型(親の考えに従わせようとする)
- 甘やかし型(求められるまま与えてしまう)
- 無関心型(関心が向きにくくなる)
一般には、この4つが「危ない親のタイプ」として紹介されます。でも、ここで立ち止まりたいことがあります。
これは「あなたはどのタイプ?」という話ではない
4タイプと聞くと、つい「自分はどれだろう」と当てはめたくなります。でも、この4つを、親を固定的に分けるラベルとして見る必要はありません。現実には、一人の親が、その日の状況によって、4つの関わりを行き来することがあります。
たとえば、こんな一日があります。
- 朝、時間がなくて「早くしなさい」と従わせる(高圧の方向)
- 忘れ物が心配で、持ち物を親が全部確認する(過保護の方向)
- 帰宅後、話しかけられても余力がなく「あとにして」と返す(無関心の方向)
- 夜、もう言い合う力が残っておらず、求められるまま動画を見せる(甘やかしの方向)
この人を「4タイプすべてに当てはまる危ない親」と分類しても、何も解決しません。4タイプは、親にラベルを貼るものではなく、いまの関わりを少し離れて見るための道具です。一緒に見たいのは「どのタイプか」ではなく、なぜ一日の中で4つを行き来するほど、余裕がなくなっていたのか、ということです。
4つに共通するのは「その場の苦しさを早く終わらせる関わり」
この4つの場面で、親の中には何が起きていたのでしょう。先回りしたいほどの不安、言い合う力も残っていない疲れ、話を受け止めきれないほどの余裕のなさ。4つは違って見えても、そこには共通するものがあります。どれも、親がつらいと感じるその時間を、少しでも早く終わらせるための行動だという点です。
| 関わり | 親の側で起きていること | 子どもから失われやすい機会 |
|---|---|---|
| 過保護 | 失敗させるのが怖くて、先に解決する | 自分で考え、失敗する機会 |
| 高圧 | 間違わせたくなくて、正解に従わせる | 自分の気持ちを言う機会 |
| 甘やかし | 泣かせたくない、もう争う力がない | 思い通りにならない経験 |
| 無関心 | 受け止める余力が残っていない | 自分を見てもらう経験 |
無関心について、一つだけ補っておきます。忙しくて話を十分に聞けない日があることと、子どもへの関心を向けない状態が長く続くことは、同じではありません。前者には、あなたの余力が少なくなっていることが表れているのかもしれません。
こうして見ると、母親の愛情や性格だけでは、4つの関わりを説明できないことが分かります。目を向けたいのは、親子の間で起きる不快な時間を、母親一人が受け止めなければならない構造のほうです。
直すのは、性格ではなく、余裕を奪っている環境
では、何を変えればいいのか。親子の関わりそのものより先に、あなたから余裕を奪っていたものに目を向けてみます。あなたの場合、余裕を奪っていたものは何だったでしょうか。睡眠不足、仕事と家事の集中、誰にも頼れない状態——思い当たるものがあるかもしれません。
夫婦の間の役割の偏り、自分自身も同じように育てられたこと、経済的な不安。こうした条件が重なると、誰でも、その場を早く終わらせる関わりへ流れやすくなります。親子の関わりだけを変えようとしても、支える側が限界に近ければ、また同じところへ戻ってしまいます。
では、いくつ当てはまるかを数える必要があるのでしょうか。見たいのは、数ではありません。どの関わりが、どんなときに、どのくらい強く出ているか。そして、すれ違ったあとに、関係を結び直せる場面があるか、です。一つ二つ当てはまることより、そこを感じてみるのが、第一歩だと思います。
一人で抱えないでほしいとき
叩いてしまう、物を投げてしまう、強い言葉が止められない。子どもと二人でいることが怖い。「次は自分でも止められないかもしれない」と感じている。そんなときは、自分だけで何とかしようとしないでください。
それは、親として失格だからではありません。一人で抱えられる量を超えている、というサインです。身近な人や、地域の窓口へ、いまの状態をそのまま話してかまいません。
- 親子のための相談LINE:保護者も、子育てや親子関係について相談できます。
- 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」:虐待かもしれないと感じたときに相談できる、全国共通の番号です。
よくある質問(FAQ)
気づいたとき、すでに手遅れではないですか。
手遅れ、ということはありません。親子の関係は、何歳からでも少しずつ変えていけます。すぐに子どもの反応が変わらないこともありますが、新しい関わりを重ねることには意味があります。まずは、自分がどんなときにきつくなりやすいかを知っておくだけでも、対応は少しずつ変わっていきます。
つい感情的に叱ってしまった日は、どうすればいいですか。
あとからでも「さっきは言いすぎたね」と伝え、子どもの気持ちを聞いてみる。すぐにいつもの関係へ戻れなくても、関係を結び直そうとする姿勢は残ります。完璧に叱らないことより、行きすぎたときにフォローしようとすることのほうが、子どもの安心につながります。
読み終えたあなたへ
今日、すぐに何かを直そうとしなくてもかまいません。「私は疲れたときに、強く言いやすいんだな」と、自分がどんな状態でどの関わりに偏りやすいのかを一つ知る。それだけでも、次に同じ場面が来たとき、ほんの少し間を置けることがあります。その間が、これまでとは違う言葉を選ぶきっかけになります。
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