最近、子どもの様子が、少し違う。朝になると「お腹が痛い」と言う。「学校、行きたくない」と、ぽつりと漏らす。前より口数が減って、表情が暗い。これは、不登校の始まりなのだろうか——。そんな不安を抱えて、ここにたどり着いたのかもしれません。
ここで見つけたいのは、学校へ行かせ続ける方法ではありません。子どもが無理をしすぎる前に、その負担に気づき、支えるための手がかりです。この記事では、不登校が始まるときに見られやすいサインと、気づいたときに親ができることを、一緒に見ていきます。
不登校が始まるときに、見られやすいサイン
はじめに大切なことを。ここで挙げるサインは、「これがあれば不登校になる」という診断ではありません。どれも、疲れているときや、一時的な不調としても現れます。あくまで、子どもの様子を気にかけるための手がかりとして読んでください。
よく語られるのは、次のような変化です。
- 体のサイン:朝になると頭痛や腹痛、吐き気を訴える。夜眠れない、朝起きられない、布団から出られない。
- 生活・行動のサイン:登校の準備が進まない。持ち物をそろえなくなる。遅刻や早退、行きしぶりが増える。
- 気持ちのサイン:口数が減る、表情が暗い、イライラしやすい。好きだったことに興味を示さなくなる。
とくに、体の不調が「学校に行く準備の時間」に集中して出たり、休日や長い休みには軽くなったりする場合は、心の負担が体に出ているサインのことがあります。
登校前だけの不調でも、「仮病」「怠け」と決めつけないで
学校へ行く時間に症状が現れ、登校時間を過ぎると和らぐからといって、「仮病」とは限りません。子どもによっては、言葉にできない不安や負担が、頭痛や腹痛などの身体症状として現れることがあります。本人が実際につらさを感じている場合もあります。自治体の教育相談でも、医学的な異常がなくても、不登校の始まりに頭痛や腹痛などが現れることがあると説明されています。
そして、子ども自身も、なぜ行きたくないのか、はっきり分からないことがよくあります。ですから、「気のせい」「怠けているだけ」と片づけたり、理由を問い詰めたりすると、子どもは「分かってもらえない」と感じて、さらに話しにくくなることがあります。サインは、責めるものではなく、「今、無理が生じている」という合図として受け取ってください。
原因より、「強くなる条件」と「和らぐ条件」を見る
「なぜ行けないの」と、一つの原因を急いで探さなくても大丈夫です。それより、どんなときに不調が強くなり、どんなときには少し和らぐのかを見てみてください。
月曜日の朝なのか、特定の授業がある日なのか。友達や先生の話をした後なのか。反対に、誰といるとき、どこで過ごすときには、少し表情が戻るのか。子どもの性格を変えようとするのではなく、負担が大きくなる条件を見つける。そこに、子どもを楽にする手がかりがあります。
気づいたとき、まず大切なこと
サインに気づいたとき、親が焦って「なんとか学校へ」と力を入れると、かえって子どもを追い詰めてしまうことがあります。まず意識したいのは、次の3つです。
- 理由を急いで聞き出さない
- 「しんどいんだね」と、今の状態を受け止める
- 必要なら、休むことも選択肢に入れる
この3つで目指したいのは、「明日から学校に行かせること」ではなく、「この子が安心して弱音を出せる状態」をつくることです。学校を休むことが、消耗しきる前の回復の時間になることもあります。それが、これから先を一緒に考えていくための土台になります。
体の不調が続くときは、受診も考えて
頭痛や腹痛、「朝起きられない」といった体の不調が続くときは、一度、小児科などのかかりつけ医に相談してください。こうした症状の背景には、起立性調節障害など、体の要因が隠れていることもあります。まずは体の状態を確かめることが大切です。
そして、体に大きな問題がないと言われても、症状が続く場合は、心の負担が関係していることがあります。心の状態が気になるときや、集団生活での過ごしにくさを感じるときは、児童精神科や、自治体の発達・教育相談の窓口を頼ることもできます。
早めに相談していい。親も、一人で抱えない
もう一つ。サインに気づいた段階で相談することは、「大げさ」ではありません。早く相談することは、不登校を無理に止めるためではなく、子どもの負担を早く分け合い、支えを増やすためです。
学校のスクールカウンセラーや担任、養護教諭、自治体の教育相談の窓口などに、今の様子をそのまま話してみてください。そして、こうした状況で、いちばん気を張って、消耗しやすいのは、親自身です。子どもを支えるためにも、あなた自身が、話せる相手や休む時間を持っていい。どうか、一人で抱え込まないでください。
なお、子どもが「消えたい」「いなくなりたい」と口にしたり、自分を傷つける行動があったり、食事や睡眠に深刻な変化が続いたりするときは、急いで支えが必要なサインです。ためらわず、24時間子供SOSダイヤル「0120-0-78310」や、かかりつけ医・児童精神科に相談してください。差し迫った危険があるときは、110番・119番へ。
よくある質問(FAQ)
不登校が始まるサインには、どんなものがありますか。
朝の頭痛や腹痛、「起きられない」、行きしぶり、口数が減る、表情が暗い、好きだったことに興味を示さなくなる、などが語られます。ただし、これらは疲れや一時的な不調でも起こり、これがあれば不登校になる、というものではありません。診断ではなく、様子を気にかける手がかりとして受け取ってください。
サインが出たら、休ませてもいいのでしょうか。
無理に登校を続けさせず、休むことも選択肢です。不登校の時期が、休養や自分を見つめ直す時間になることもあります。ただし、体調や背景は一人ひとり違うため、不調が続くときは医療機関や学校に相談してください。休むことは、怠けでも甘えでもありません。
いつ、相談すればいいですか。
「これくらいで相談していいのかな」と迷った時点で、相談して大丈夫です。早い遅いを気にする必要はありません。子ども本人が乗り気でない場合は、まず保護者だけで相談することもできます。一人で抱える時間が長くなる前に、学校や窓口を頼ってみてください。
読み終えたあなたへ
子どものサインに気づいて、不安な気持ちで、ここまで読んでくれたのだと思います。今、子どもの変化に気づいたのなら、決して遅すぎません。これまで見落としていたように感じても、自分を責めなくて大丈夫です。毎日の生活を回しながら、子どもの小さな変化をすべて受け取ることは、誰にとっても簡単ではありません。
大切なのは、もっと早く気づけたかどうかではなく、今ここから、子どもの負担を一緒に見ていくことです。原因を突き止めて元に戻すより、その子が安心して休み、弱音を出せる場所を、まず用意する。そして、それを一人で背負わないこと。ここから先は、誰かと一緒に、少しずつで大丈夫です。
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※出典・参考:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について」/江戸川区教育委員会「体に現れる不登校」
