子どもが学校に行けなくなってから、「私の何がいけなかったのだろう」「私が、こういう母親だったからだろうか」と、自分を責める日が続いていないでしょうか。起こすべきか、休ませるべきか。励ますべきか、何も言わないほうがいいのか。朝が来るたびに迷いながら、できることを探してきたのではないでしょうか。その果てに、自分の「特徴」を確かめようとして、ここにたどり着いたのかもしれません。
先に、いちばん大切なことをお伝えします。この記事は、あなたの中に「原因」を見つけて、責めるためのものではありません。むしろ、検索して並ぶ「不登校になりやすい母親の特徴」といった言葉に、これ以上あなたが傷つく前に、知っておいてほしいことをお話しします。
「不登校は、母親のせい」ではありません
まず、公的な見解から。文部科学省は、不登校について、環境によってはどの児童生徒にも起こりうるものであり、不登校というだけで問題行動と受け取ってはならない、としています。さらに、「学校に登校する」という結果だけを目標にせず、子どもと保護者の意思を尊重することも示されています。特定の家庭だけに起こるものでも、母親の性格が引き起こすものでもありません。
不登校の背景には、学校での出来事、友人関係、本人の心や体の状態、学びづらさ、発達の特性など、いくつもの要因が複雑に重なっています。それを、「母親がこういう人だから」という一つの理由に還元することは、そもそもできません。ネット上に並ぶ「不登校になりやすい母親の特徴」は、その複雑な状況を、一つの分かりやすい型に当てはめた説明にすぎないことがあります。
なぜ、「母親の特徴」が語られてしまうのか
それでも、こうした言葉が広まってしまうのには、理由があります。原因が分からず苦しいとき、人は「誰かのせい」「何かのせい」と、はっきりした答えを求めたくなります。そして、いちばん近くで子どもを見ている母親が、その矛先になりやすい。まわりからも、そして何より、あなた自身からも。
でも、複雑に絡み合った要因を、母親一人の「特徴」に押し込めても、子どものつらさが軽くなったり、必要な支えが見つかったりするわけではありません。自分を責め続ければ、あなた自身が、ますます苦しくなってしまいます。今必要なのは、原因を一人で引き受けることではなく、あなたも誰かに支えてもらうことです。
見たいのは「特徴」ではなく、「今、何が起きているか」
では、どこを見ればいいのか。あなたの「性格」ではなく、「今、その子に何が起きているか」です。
いつから、どんなふうに行きしぶるようになったのか。学校の何がつらいのか、それとも本人にもまだ分からないのか。眠れているか、食べられているか。家では、どんなときに少し表情がゆるむのか。こうした「今の状態」を、犯人捜しではなく、その子を理解するための手がかりとして見ていく。そこから、必要な支えが見えてきます。これは、あなた一人でやることではなく、学校や専門家と一緒に進めていけることです。
お母さん自身も、支えられていい
もう一つ、忘れないでほしいことがあります。あなたも、いちばんそばで揺れ、消耗してきた一人ではないでしょうか。まわりに理解されず、孤立し、「私がなんとかしなければ」と一人で抱え込む。それが続けば、どんな人でも、心がすり減っていきます。
あなたが少し休むことや、話せる相手を持つことは、わがままではありません。子どものためだけではなく、あなた自身の心と体を守るために、支えを求めていいのです。そのことを、どうか忘れないでください。
相談できる場所
一人で、あるいは家庭だけで抱えなくて大丈夫です。次のような場所が、あなたと子どもの側に立ってくれます。
- 学校のスクールカウンセラーや、担任・養護教諭:子どもと家庭の状況を相談できます。
- 教育支援センター(適応指導教室):学校以外で、子どもが安心して過ごしたり学んだりできる、公的な場です。
- お住まいの自治体の教育相談窓口や、こども家庭センター:子育てや不登校について相談できます。
- 不登校の親の会:同じ経験をした親とつながれる場です。「うちだけではない」と思えることが、支えになります。
- 24時間子供SOSダイヤル「0120-0-78310」:子どもや保護者が、いつでも相談できる電話窓口です。
お母さん自身がつらくて、気持ちが晴れない、眠れないといった状態が続くときは、我慢せず、かかりつけ医や心療内科に相談してください。今すぐ誰かに話したいときは、よりそいホットライン「0120-279-338」も利用できます。
よくある質問(FAQ)
不登校は、母親のせいなのでしょうか。
いいえ。文部科学省も、不登校はどの子にも起こりうるもので、問題行動ではないとしています。背景には、学校・友人関係・本人の心身の状態・発達の特性など、複数の要因が重なっていて、母親一人の性格や関わり方に原因を求めることはできません。自分を責める必要はありません。
母親は、どう関わればいいのでしょうか。
「学校に戻す」ことを急ぐより、まず、子どもが家で安心して過ごせることが土台になります。無理に理由を問いつめず、責めず、そばにいる。そして、あなた一人で抱えず、学校や専門家と一緒に考えていく。正解を一人で出そうとしなくて大丈夫です。
いつ、相談すればいいですか。
「これくらいで相談していいのかな」と迷った時点で、相談して大丈夫です。早い遅いを気にする必要はありません。子ども本人が行きたがらない場合は、まず保護者だけで相談することもできます。一人で抱える時間が長くなる前に、上の窓口を頼ってみてください。
読み終えたあなたへ
「不登校の母親の特徴」を検索するほど、あなたは、子どものために自分を省みて、苦しんできたのだと思います。でも、あなたが探すべきなのは、責めるべき「特徴」ではありません。今、その子に何が起きていて、どんな支えがあれば、少し楽になれるか。それを、一人ではなく、誰かと一緒に見ていくことです。原因を探して自分を責めることを、今日は少しだけ休んで、あなた自身のことも、いたわってあげてください。
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※出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について」
