強い言い方をしてしまった一瞬は夜まで胸に残るのに、毎日続けてきた世話や声かけは、当たり前になりすぎて自分では数えられない。そうして、できたことより、できなかったことのほうが大きく見えてしまう日があります。優しく言おうとしたり、話を聞こうとしたり、できることを試してきたのに、うまくいっている実感が持てない——そんな気持ちで、ここにたどり着いた方もいるかもしれません。
この記事は、子育てを採点したり、足りないものを探したりするためのものではありません。いま、あなたと子どものあいだにあるものを、少し違う角度から一緒に眺めてみるためのものです。
愛情いっぱいに育てられた子に見られる4つの特徴
愛情が届いている子のいちばん大きな特徴は、いつも穏やかで聞き分けがよいことではありません。困ったときに助けを求め、安心できる人のところへ戻り、気持ちを立て直しながら、また外の世界へ向かっていけることです。その姿は、次の4つに整理できます。
- 困ったときに、助けを求められる
- 安心できる相手に、気持ちを出せる
- 気持ちが揺れても、少しずつ立て直せる
- 安心できる場所を足場に、外へ向かっていける
一つずつ、見ていきます。
1.困ったときに助けを求められる
「頼れば受け止めてもらえる」と感じているから、一人で抱え込まず、「できない」「手伝って」と言えます。これは弱さではなく、安心の裏返しです。
2.安心できる相手に気持ちを出せる
うれしい、悲しい、悔しいを、そのまま見せられます。そしてこれは、意外に思われるかもしれませんが、家で甘えたり、ぐずったり、きつい態度をとる姿として表れることもあります。外でこらえていた気持ちが、安心できる相手の前であふれることもあります。「どうして私にだけ」と悲しくなる日もあると思います。もちろん、きつい態度だけで、愛情が届いていると決めることはできません。それでも、「私にだけ向けられる困った姿」には、外でこらえていた気持ちを出せる相手だから、という見方もあります。
3.気持ちが揺れても少しずつ立て直せる
大きく泣いたり怒ったりしても、時間をかけて、いつもの様子に戻っていく。うまくいかない経験のあとも、また持ち直していけます。
4.安心できる場所を足場に外へ向かっていける
興味のあるものに手を伸ばし、うまくいかなければ安心できる場所へ戻ってくる。そこで気持ちが落ち着くと、また外へ向かっていく。戻れる場所があるからこそ、思いきって踏み出せます。
どうして、そう育つの?
背景には、「安全基地」という考え方があります。子どもにとって、身近な大人との関係が、安心して戻れる場所になっている、という考え方です。
戻れる場所があると、子どもは思いきって外へ踏み出せます。転んでも、戻れば受け止めてもらえる。そう感じられるから、また立ち上がれる。この場所は、一人の完璧な大人だけでつくるものではありません。家族や園・学校の先生など、安心できる人との関わりが重なって、土台になっていきます。「おかえり」と迎える、名前を呼ぶ。そんな何気ないやりとりの積み重ねです。
当てはまらない姿があっても、それだけで親子の関係は決まらない
ここまで読んで、当てはまらない姿が気になった方もいるかもしれません。でも、すべてが当てはまる必要も、いつも見られる必要もありません。
子どもの今の姿には、生まれ持った気質、成長の時期、体調、園や学校での出来事、その子なりの感じ方や表し方など、いくつもの要素が重なっています。慎重なことも、感情を内にしまうことも、たった一つの理由で決まるものではありません。「大好き」と言葉で伝えられると安心する子もいれば、隣で一緒に過ごすことで感じ取る子、少し離れて見守られるほうが落ち着く子もいます。
だから、目の前の一つの姿だけで、これまでの親子の時間すべてを説明することはできません。いま見えている姿が、その子のすべてではないのです。
よくある質問(FAQ)
愛情をかけすぎると、甘やかしになりませんか。
気持ちを受け止めることと、求められたことをそのまま通すことは、別のものです。「まだ遊びたかったね」と受け止めながら、「今日はここまで」と伝えることもできます。気持ちを大切にすることと、必要な線を示すことは、両立します。
今からでも、間に合いますか。手遅れではないですか。
手遅れ、ということはありません。以前の言葉や態度を思い出して、あのとき違う接し方をしていればと考えてしまうこともあるでしょう。それでも、親子の関係はいま続いています。いつものように名前を呼んで、ごはんを用意して、話を聞く。その続きから、これからの関係も育っていきます。
共働きで、いっしょにいる時間が少ないのが不安です。
時間の長さだけで決まるものではありません。特別で質の高い時間にしなければと、力を入れすぎなくても大丈夫です。「いってらっしゃい」と送り出すこと、洗濯した服を置いておくこと、疲れた顔に気づくこと。何でもない毎日の中にも、子どもが受け取っているものがあります。
読み終えたあなたへ
すぐに何かを変えなくてもかまいません。今日まで当たり前に繰り返してきたことの中に、まだ気づいていなかったものがある。そのことを、ほんの少し覚えておいてください。今日も、いつものように子どもの名前を呼ぶ。親子のこれからは、そんな「いま」の続きにあります。
子育てのヒントを、もう少し
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